縄にからめ捕られた運命
新井場結希、27歳。今法曹界ですこしばかり有名な若手弁護士である。東大法科大学院
を好成績で卒業した才媛でありながら、大企業の顧問弁護士を多く抱える大手法律事務所
には入らず、小ぢんまりとした法律事務所で、普段あまり法律と縁のない人々の法律相談
を格安で行っている、風変りの弁護士である。しかし、裁判の腕には若いながらも定評が
あり、常に弱者の味方をするために全戦全勝とはいかないが、それにしてはなかなかの勝
率を誇っていた。法律事務所の所長も、彼女にもっといい事務所に移った方がいいのでは
ないかと勧めたが、彼女はここの方がしたいことができるからと笑って取り合わなかった。
安いアパートに住み、物欲もなく、いつも笑顔で依頼者からの相談に応じている彼女は、
法曹界でちょっとした話題になっていた。
そんな彼女がアパートに帰り、スーツのままうとうとしていると、いきなりドアの鍵がガ
チャリと開く音が聞こえた。寝ぼけ眼で玄関まで来ると、ドアがいきなり開き、目出し帽
黒装束の男たちが押し入ってきた。男たちは寝起きで戸惑っている結希を取り押さえ、両
手を後ろに回して手錠をはめた。それと同時に口にガムテープを貼り、結希の声を封じた。
結希はいきなり後ろ手錠と猿轡をされて暴れようとしたが、首筋にナイフを突きつけられ
た。
「大人しくしろ。さもないと殺す。」
結希はどうすることもできず、タオルで目隠しまでされた。そのままアパートから連れ出
され、トラックの荷台に押し込められた。扉が閉められると、手錠を外された。結希は暴
れたが、左右から両手を押さえられ、またもナイフを突きつけられた。
「大人しくしてろと言ったろ。」
結希は大人しくしたところ、両手が後ろにねじあげられて、縄が巻き付いていった。両手
を縛られたあと、胸の上下に縄が巻きついていったので、結希は大声を出して暴れた。し
かし、後ろ手に縛られている状況では大して抵抗できず、口にガムテープを貼られている
状況ではくぐもった声しか出なかった。二の腕に止め縄までされたあと、全体の縄をギュ
ッと締められた。結希の胸は、縛るまでは着やせする体質からわからなかったが、上下か
ら縄で括りだされると、なかなか豊満なものであった。男たちは、その胸にむしゃぶりつ
きたい衝動を抑え、目隠しを外した。視界を得た結希は、辺りを見回した。6人ばかりの
屈強な男たちがそこにいた。縄をほどこうともがいてみるが、縄はいっそう締めつくばか
りだった。結希はうーうーとうなってみた。と
「大声を出さないならはずしてやる。」
結希はこくりと頷いた。と、ガムテープを外された。
「私をどうするつもりですか。」
「さあな。俺たちはお前を誘拐しろと言われただけだ。お前を上に引き渡すことが俺たち
の仕事だ。そのあとお前がどうなろうが、何の興味も関心もない。」
「そうなんですか。私が弁護士と知ってですか。」
「別に職業がどうとか関係ないだろう。」
「あなたたちは何なんですか。」
「まあ、人さらいの達人といったところかな。てか、覚えてないんだな。」
「え、何がですか。」
「いや、いい。さ、着いたぞ。」
と、目隠しして口にガムテープを貼った。トラックの荷台から降ろして、建物の地下室に
入れて、縄を天井につないで出て行った。結希はもがいたが、胸に縄がギュッと締めつい
て、結希から力を奪った。結希は暴れるのをやめ、じっと考えをめぐらせてみた。
「私を捕まえたのは誰だろう。」
もしかしたら、裁判で負かした人間が復讐のために捕まえたかもしれない、だとすれば、
もしかしたら殺されるかもしれない。いや、この胸を強調する縛り方からして、どこかの
金持ちがわいせつもしくは結婚目的のために捕まえたのかも知れない。だとしたら、強姦
されて一生ここで暮らすかもしれない。どう考えても、ろくなことにならないのは目に見
えていた。まあ、後ろ手緊縛で吊るされている時点ですでにろくなことになっていないの
だが。
と、男たちの一団が入ってきた。その一人が目隠しとガムテープをはがし、
「すばらしい。まさか本当に捕まえることができるとは。」
「あなたたちは何なんですか。私をどうするつもりですか。」
「うーん、立派になったものだ。いつのまにか弁護士になって、そこそこ評判になってい
るそうじゃないか。身体の方も、とても立派に成長したものだ。」
「質問に答えてください。って、私に以前あったことがあるんですか。」
「思い出せないかね。」
と、何枚かの写真を見せた。そこには、小学5年生ぐらいの女の子が、いろんな服装で縛
られている姿が映っていた。その瞬間、結希の奥深くに押し込められていた、忌まわしい
記憶が、まるで走馬灯のようによみがえってきた。
あれは、小学5年の秋だった。友達と遊んだ帰り、一人で歩いていると、いきなり口をふ
さがれて車に乗せられて誘拐された。そして、今と同じく後ろ手上下胸縄緊縛をされて、
地下室の天井につながれていた。そういえば今も、と周りを見回すと
「思い出したようだな。あの時君を閉じ込めていた地下室だよ。あと、縄もあの時君を縛
っていたものと同じものだ。十数年の時を超え、再び君の体に巻きつくことができたんだ。
ああ、なんとロマンチックだろう。」
何がロマンチックなのか分からなかったが、よく縄がダメにならなかったなとは思った。
そんなに古いものなら、すぐに切れそうなものだが、縄は一部の隙もなく結希の体を締め
付けていた。
「あと、君を捕まえた男たちが居たろ。あれも、前にも君を捕まえたんだよ。」
そうなのか、あの時はすぐに目隠しをされてわからなかったが。ということは、自分は同
じ相手に二回も捕まったことになる。
「小学5年生なら、もっと暴れると思っていたが、特に暴れるとか泣きわめくこともなく
いい子だった。縛るときも従順だったしな。」
いい子だからなわけはない。単純に怖かったのだ。小5の純真な女の子にとって、縄でが
っちりと緊縛されて写真を撮られるということがどれだけ恐怖を伴うか、この男はおそら
く想像もつくまい。地下室に吊るされているときに、どれだけ暴れ、どれだけ泣いたこと
か。暴れても縄は締まるだけだったし、泣いても助けが来るわけではなかったが。あまり
の恐怖から、自己防衛本能により、この出来事を記憶の奥深くに葬らねばならなかったほ
どである。
「そういえば、いろんなところに行ったよなあ。沖縄とか北海道とか。」
そうなのである。この男が緊縛写真を撮ることで、結希はいろんなところに連れまわされ
た。沖縄のビーチの一部を貸し切って、ビキニ水着で椰子の木につながれて撮られたこと
もあった。初めて行った沖縄で、初めて着たビキニが、こんな残酷な思い出になるとは思
わなかっただろう。北海道ではゲレンデの一部を貸し切り、スキーウェアに身を包まれ、
足を雪に埋められ、雪玉をぶつけられているところを撮られた。今思い出すと、誰得なの
だろうというカットであった。
「君をパーティーの出し物にしたときは、とても好評だったのを覚えているよ。縄をかけ
られても気品を失わず、それでいて従順と絶賛されたなあ。」
そうなのだ。緊縛愛好家たちが集まるパーティーで、ドレスを着せられて後ろ手上下胸縄
緊縛され、出し物にされたことがある。もともと小5には見えない大人びた顔だったし、
このころになると監禁生活にも緊縛にもだいぶ慣れてきて、縄に対する拒否反応も薄れて
きていた。それに、大勢の前で無様にもがく姿をさらしたくなかったので、されるままに
なっていただけだ。退場するとき、なぜかスターティングオベーションを受けた。それが
なぜだかわけもわからず、深く頭を下げて出て行ったのを覚えている。
「あのときはぺったんこだったのに、いまはたわわな果実が2つも。ふふん、豊作ですな
あ。ここまでよく育ててくれた。」
そりゃそうだ。あの時は小5だ。なんか膨らみ始めたなと思ったぐらいだ。それを縄で四
六時中絞り出されたおかげで、成長は早くなったと思う。でも、着やせする体質のせいか、
そこまで意識することもなかったが、こうやって再び縄で上下から絞り出されるおかげで、
成長を再確認することになった。しかし、大きいことを初めて言われたのがよりにもよっ
てこの男とは、屈辱だった。
「で、私をどうする気?」
「言ったではないか。」
思い出した。彼は私の緊縛写真集を作った後、なぜか私を解放した。緊縛されて目隠し・
ガムテープをされて国道に放置されるとき、彼は私にこう言ったのだ。
「収穫の季節が楽しみだ。」
と・・・。その意味を本能的に察知した私は、彼らから一歩でも遠ざかろうと必死に歩い
た。運よく警察に保護された私はすべてを正直に話そうとしたが、縄を解かれた段階で記
憶が飛んでしまった。とても凄惨かつ個人的な体験をした場合、防衛本能が働いて、その
記憶を奥深くにしまいこんでしまうらしい。その警官が上に掛け合って捜査本部まで開い
てくれたようだが、肝心の自分の記憶が奥深くにしまわれているため、ほとんど役に立た
ないので、捜査はすぐに打ち切られた。
「言っただろう。今が収穫の時だよ。あの時も美少女だったから、解き放つのは惜しかっ
たが、こんなにいい女になって戻ってきてくれるとは。これは写真集の続き、とんでもな
いボリュームになりそうだ。」
だから私を解放したのか。私が成長したところで再び捕え、縛りあげ、写真集を完成させ
るために。
「君は知らないだろうが、君の成長ぶりはしっかりとチェックしていたよ。チェックする
たび、すぐに収穫したかったが、ずっと待ってて正解だったようだ。」
屈辱だった。自分は十年以上、この男の手のひらで踊っていたということか。しかし、後
ろで組み合わされた手をぎゅっと握りしめることしかできなかった。
「意外と冷静なようだな。もっとパニックになって、暴れると思っていたのだが。」
そういわれてみればそうだ。記憶の奥にしまいこむような体験を思い出さされたにもかか
わらず、意外と冷静な自分がいた。というか、今まさにその体験がリプレイされようとし
ているのに、パニックに陥ることなく、ある程度冷静に分析している自分がいた。なんで
だろうと思って見回してみるが、何もない。と思って天井を見ると、自分を吊るしている
滑車があった。同時に縄がぎゅっと締まった。これか。以前は、パニックになって暴れた
り叫んだりしても、誰も来ないし、縄が締まるだけだった。こんな体験を繰り返すことで、
パニックにならなくなったのだろう。このパニックにならない性格が、裁判の時にも生き
ているのだろうかとも思ったりした。
「では、収穫の時間だ。連れて行け。」
と、男は出て行った。別の男たちが、結希を滑車から下し、縄を解いた。ずいぶん長い間
縛られていたので、手首や二の腕はしびれて、縄の跡もしっかり残っていた。それをほぐ
していると、
「これに着替えろ。3分以内にだ。さもなければ全裸で連れて行く。」
と、セーラー服を渡され、男たちは出て行った。高校を卒業してからずいぶんなるが、仕
方ないと思い、さっさと着替えて、男たちを呼んだ。男たちが縄をもって近づくと、結希
はいきなりパニックに襲われ、狭い地下室を逃げ惑った。男たちは結希のあまりの豹変ぶ
りに戸惑いながらも、結希を取り押さえ、両手を後ろに回し、縄をかけた。手首を縛られ
ると、結希は途端に大人しくなり、されるがままに上下胸縄を受けた。男たちは結希の再
びの豹変ぶりに首をひねりながら、結希に目隠しをし、地下室から出して連行した。結希
は曳かれながら、先ほどのパニックを自己分析していた。おそらく縛られていれば、何を
しても無駄だという潜在意識が働くから、パニックを起こさないだろうと分析した。皮肉
なことに、自分の体の自由を奪う縄が、精神安定剤の役割を果たしていたのである。と、
一室に入れられ、目隠しを外された。
そこは学校の理科室のような風景だった。多数のフラスコとビーカー、ガスバーナーま
であった。
「ここは?」
「気に入ってくれたかな?セーラー服で理科室で縛られる。うーん、いい絵じゃないか。」
「早くしてくれませんか。」
「焦るなよ。」
と、中央の机に乗せられる。そこの四方にはビデオカメラがあり、縛られた結希の体を録
画していた。そして、両足を重ねられて足首を縛られた。
男はカメラを構えながら、なんと美しいものだろうと思った。セーラー服姿の純真そのも
のの佇まいとそれに残酷なまでに締めつく麻縄、上下から絞り出されて突き出た胸、すら
りとのびやかなふくらはぎと、むっちりした太もも、そして、縛られても光を失わない目
に、これは十年に一度の逸材だと思った。セーラー服と縄のコンビは互いを強烈に絵にす
るものであるとしても、結希以外にも誘拐して縛り上げて閉じ込めた女を複数抱えていた
が、それと比べても、これほどまでのものではなかった。男は夢中で、結希にポーズを指
示していった。立っているもの、座っているもの、寝ているもの、正面を向いているもの、
背中を向けているもの、横を向いているもの、笑っているもの、怒っているもの、泣きそ
うなもの、影のある表情のもの、などなどであった。結希はそれに対して、なんら躊躇も
抵抗もすることなく応じていった。すべての写真を撮り終えると、結希は憔悴しきって座
っていた。男が近づいて言った。
「次、体操服で写真を撮るんだが、動けるか?」
「どうせいつかやるんでしょう。今した方がいいよ。」
「なら、これに着替えろ。」
と、体操服とブルマを渡された。そして、結希を連行していた男たちに、ピンクの縄跳び
が渡された。
「えっ、どうするんですか。」
「体操服と言ったら縄跳びでの緊縛だろう。」
と言ったらの意味が分からなかったが、とにもかくにも着替えて、今度は大人しく後ろ手
上下胸縄緊縛を受けた。縄跳びでの緊縛は麻縄の緊縛とはまた違った感触がした。そして、
今度つれられた部屋、まるで体育館であった、その中心に座らされ、両足を束ねて縛られ
た。男は改めて結希をまじまじと見つめた。ボディラインがくっきり浮き出た体操服と、
それを縛るピンクの縄跳びがこの上なく淫靡なものであった。特に、縄跳びの取っ手の部
分が谷間に差し込んであるのがとてつもなく男の本能を暴走させた。男は、それをおさえ
つつ、結希にいろんなポーズを指示し、それを写真に収めていた。結希は、またされるま
まになっていた。写真を撮り終えると、縄跳びをほどいて、また麻縄で縛りなおすと、地
下室に入れて、天井の滑車につないだ。結希は吊るされたまま、泥のように眠りこけた。
このように、結希はいろいろな服装で縛られていった。浴衣、ブレザー、チャイナドレ
ス、ナース服、CA服、警察官の制服など多岐にわたるものであった。結希はさしたる反抗
もせずに、被写体になっていった。そして・・・
ある日、結希は滑車から下された。
「今日はどんな服で縛るんですか。」
と、目隠しとガムテープをされた。
「うっ。」
「今日は沖縄に行くらしい。沖縄で水着緊縛写真を撮るのだそうだ。」
と、トラックに乗せた。そのまま船に乗せて、沖縄まで行った。沖縄のビーチの一部を貸
し切り、その境目には黒装束の男たちが見張りとして立って、部外者が撮影を覗くことが
できないように警戒した。結希は縄と目隠しとガムテープを外され、スクール水着を渡さ
れた。スクール水着を着て、後ろ手上下胸縄緊縛をされて、トラックを降りた結希は、久
しぶりに見た沖縄の風景を、しばし見つめていた。波の音、どこまでも続く砂浜、椰子の
木などの風景に心を奪われていた。こういう形で来なければ、いつまでも見飽きない風景
であった。男は結希のその姿も、しっかり写真に収めていた。そして
「そろそろいいか。」
「ああ、すみません。」
と、波打ち際に座らせ、両足を縛った。そして、写真を撮っていった。スクール水着でボ
ディラインがあらわになったところに締めつく縄が、波に濡れてますます締まり、男を興
奮させていった。ある程度写真を撮ったところで、波打ち際から移し、椰子の木につない
だ。
「もしかしてこの木も?」
「そうだ。君が初めて沖縄に来た時につないだのもこの木だ。」
そういえば、あのころよりさらに大きくなった気がする。男はまたいろんなポーズで写真
を撮ると、トラックに入れ、縄をほどいた。そして、渡されたのはビキニ水着だった。
「写真集のクライマックスだ。さっさと着替えな。」
ビキニ水着に着替えた結希を縛ろうとトラックに入った男は、結希のあまりのかわいらし
さに目を奪われた。のびやかな白磁の手足とくびれた腰、そして、ビキニの胸部から見え
る豊満な谷間。男はドキドキしながら、結希の体に縄を巻きつけていた。特に、胸の上下
を縛るとき、巻き付けるたびに胸が盛り上がってくるのが分かり、男の本能を燃え上がら
せた。トラックから出すと、波打ち際に座らせた。波に打たれた結希のビキニ緊縛は、と
てつもなく美しかった。さざ波の音に、風に吹かれて乱れる髪に、すらりとした体に締め
つく縄に男は興奮しながらも、それを写真に収めて行った。そのあと、椰子の木につない
で写真を撮った。近くで見ると、ますます魅力的な肉体だった。上下から絞り出された胸
はボリューム満点だったし、肌も、まさに水をはじくようなものといってもおかしくない
ものだった。27でこの肌は奇跡といってもおかしくないものだった。
「何じろじろ見てるんですか。」
男はふっと笑って撮影を続けた。結希は、この男は間違いなく私の体を縛るだけじゃなく、
それ以上のことをしようとしていると感じた。撮影が終わり、ガウンをかけようとすると
きに
「私の体に見入ってましたよね。」
「確かにそうだな。27とは思えないみずみずしい肌に、たわわな果実が縄で絞り出され
たとあっちゃ、男は黙ってないだろう。」
「写真集も終わったみたいなので、これから私をどうするんですか。」
「抱いてみようか。」
すると、結希の顔にかすかな動揺が走ったが、すぐに諦めの表情になり、
「捕まった時から覚悟はしていました。ご存分に。」
結希は、自分でもなぜこう言ったのか分からなかった。しかし、ここ何日かの監禁生活の
中で、なぜか彼に身体を許してもいいと思い始めていた。もしかしたら、体に締めつく縄
がそう言わせているのかもしれないと思った。
「でも、もしするなら私を縛った状態でしてください。さもないと、どうなるか分かりま
せんよ。」
「ああ。そうさせてもらうよ。」
と、結希の胸を触ってみた。結希の胸は、長時間の緊縛ですっかりほぐされ柔らかくなっ
ていた。なめらかな肌と、マシュマロのようなさわり心地が男の下半身を熱くさせた。結
希は観念して、目を閉じた。すると、男は立ち上がり、去って行った。
「いいんですか。」
「ああ、帰ってからな。」
と、結希を沖縄から連れ帰り、地下室に入れたが、一向に呼び出す気配はなかった。と、
男たちがきて、結希を滑車から下し、縄をほどいた。そして、捕まった時に着ていたスー
ツを渡された。
スーツに着替えると、ボスの男が一人で来た。
「あなた一人ですか?」
「何か問題か?」
「いえ。」
と、縄をもって近づいてきた。結希はそこそこ護身術をかじっていたので、ひとりぐらい
なら叩きのめすことができた。が、結希は抵抗することを全く考えず、ただされるままに
両手を後ろに回され、上下胸縄緊縛を受けて行った。
「抵抗しないんだな。護身術もやっていたのに。」
「えっ、あっ。」
と、縄をギュッと締められて、完全に緊縛された。
「なんで護身術やってるって知ってるんですか?」
「言ったろ。君のことは解放してからもずっと追っていた。」
「だったら、部下の人を連れてきて、私を取り押さえてからゆっくり縛ればよかったのに
。」
「実際必要なかったろ?君は大人しく縄に掛かった。」
「抵抗すればよかった。」
「実際抵抗しなかったってことは、君も縛られるのが実は好きだったりするのかもしれん
な。」
「そんなまさか。」
「顔が赤いぞ。可愛いなあ。」
と、縄によって絞り出された結希の胸を服の上から触ってみた。
「相変わらず、柔らかくて気持ちいいなあ。」
「で、どこに連れて行くんですか?」
と、顔を赤らめながら結希は聞いた。男は触るのをやめ、縄尻をとって歩かせた。応接室
に通し、ソファに座らせ、足首を重ねて縛った。しかし、いつもあるカメラがないので、
結希は怪訝な表情を浮かべていた。
「今日は撮影じゃない。すこし尋問するだけだ。といっても、ただ少し話を聞くだけだ。」
「だったら、地下室につないだままでもいいんじゃないですか。」
「地下室で吊るされたまま話すより、ソファに座りながら話す方がよくないか?」
「まあ、なら縄を外してくれても、ってそれはできないか。」
「まあな。でも、一応縛り方は変えているつもりだ。楽なようにな。」
言われてみれば、今までは荒々しく締め付き、無慈悲に体の自由を奪う感じに縛られてい
たが、今の縄は、体の自由は今まで通り完全に奪うものだったが、体を包み込むようにや
さしい感触だった。もがいてみたら、キュッと締めついたが、痛みは全く感じないように
なっていた。
「なんで弁護士になろうと思ったんだ?」
「なんでだろう。高校生ぐらいから、弁護士になって他人の役に立ちたいと思うようにな
っていた。」
「なるほど、それと、君は東大出で、裁判の腕に定評があるにもかかわらず、ちっぽけな
法律事務所に甘んじて、安いアパートで暮らしているんだ?」
「何ででしょうかね。」
と、結希は身じろぎしながら、頭を振って髪を後ろにやった。両手を後ろ手に括られてい
るからなのだが、男には淫靡なものに見えた。
「好きな仕事をやれるから、ですかね。身近な人たちの役に立つ仕事がしたいんです。ま
あ、儲からないので、事務所的にはありがたくないことなんですがね。そもそもそんなに
物がほしいわけでもないし、生活に困らないくらいのお金があればいいので。」
「なるほどな。」
と他にもいろいろ話した。と、結希がうとうとし始めた。
「寝るか。」
「え、でも、地下室に戻らないと。」
「ここで寝た方が寝やすいんじゃないか?」
「いつも吊るされて寝てるんで。」
「まあ、そのまま寝てるといい。あとで地下室に吊るしておくから。」
と、安らかな寝息を立てた。男は、結希を抱え、地下室に連れて行った。滑車に吊るし、
絞り出された胸を揉んでみた。相変わらず、マシュマロのようなさわり心地が両手を包ん
だ。すると
「んっ・・・」
男は苦笑しながら、部屋を出て、鍵をかけた。そして・・・
あるとき、結希は滑車から降ろされ、縄をほどかれた。
「お前をパーティーの出し物にする。しばらくの間、縄を解いたままにするから、しっか
りほぐしておけ。」
あれからどのくらいたったのだろうか、手がすっかりしびれていた。手をほぐしながら、
渡されたドレスに着替える。ドレスも胸の谷間を強調したドレスとなっていた。1時間ほ
どしてから、男たちが現れ、結希に後ろ手上下胸縄緊縛を施し、地下室から連れて行った。
パーティー会場のそばの控室には、ほかの参加者の出し物だろう、結希と同じくドレスで
後ろ手上下胸縄緊縛を施された女性たちがいた。みんな憔悴していたが、いずれ違わぬ美
貌だった。そこには、小学5,6年生ぐらいの女の子も交じっていた。結希には、その女
の子がかっての自分に見えた。結希は自分の縄尻をとっている男たちに目で合図して、そ
の女の子のところに連れて行ってもらった。
「すみません。そこの女の子と二人きりで話をしたいのですが。逃げたりしませんから。」
と、その女の子の縄尻を握っている男が、怪訝そうな目でこちらを見た。しかし、ぶっき
らぼうに縄尻を結希の縛られている手に握らせてきた。
結希はその少女を連れ、控室の端っこに言って話しかけた。
「あなたぐらいの子も捕まったの?」
「うん、帰り道に捕まっちゃった。来る日も来る日も縛られて、怖いよ。」
と、体を預けてきた。結希は後ろ手に縛られているので、その子を体で受け止めた。
「お姉さんもね。あなたの年ぐらいに捕まってここに連れてこられたの。でも、すぐ解放
してくれるから。大丈夫だから。」
「でもなんでお姉さんは捕まったままなの。」
「お姉さんの時も一度解放してくれたよ。でも、大人になってからまた捕まっちゃった。
だから、一度解放されたら、絶対に夜道は一人であるいちゃだめだよ。あと、家の戸締り
はきっちりする事。鍵は二重にしとくのがいいわね。とにかく一度は解放されるから。こ
の状況に負けちゃダメ。」
と、少女の縄尻が男に取られ、少女はひきずられるように控室から連れ出された。しばら
くすると、結希の縄をとっている男の電話が鳴り、会話していた。と、
「さっきの少女だが、解放されることはないぞ。」
「えっ。何でですか。」
「あの子をぜひともほしいという富豪がいてな。3億で買われていった。」
「そんな。なら、私を身代わりに。」
「お前はうちの囚人だ。身代わりなどあり得ない。」
「お願いします。お願い・・・」
「仕方ねえな。」
とボスの男に電話をかけていた。しばらくして、ボスの男が来た。結希は事情を話すと、
意外にもあっさりと、少女を買った相手に働きかけてくれることに同意した。
「ありがとうございます。でも、いいんですか。私を手放すことになってしまいますけど
。」
「ああ。もう君の写真集はすべて撮り、動画にも落とした。もう君の身柄は必要ない。ど
っちみち、どこかに売りさばくつもりだったからな。」
「でも、これじゃ儲けは出ませんよ。」
「いい。君がそう望むなら。まあもともと、金には困ってないからな。」
「ありがとうございます。」
「君こそいいのか。相手はどんな性癖をもっているか分からない。拷問にも似た扱いをさ
れるかもしれんぞ。」
「わかってます。」
「しかし、君が出し物でヘマをすれば、交渉することもできないからな。」
「わかっています。」
そして、出し物が始まった。結希は縛られてもなお、凛とした佇まいで、それでいて従順
だった。あのときスターディングオベーションを受けたように。
出し物が終わると、あの時と同じく、スターティングオベーションを受けた。
数日経ってから、結希は地下室から連れ出された。あの時少女を買った富豪は、結希と交
換というと、むしろ望むところということで、交渉はあっという間にけりがついたらしい。
少女はいったんこちらで身柄を引き取ったあと、解放され、警察に保護されたらしい。結
希は少女と会って話をしたかったが、それは許されなかった。結希が地上につくと、すで
に相手の富豪が身柄引き取りに来ていた。と、縄をほどかれた。
「あれ?」
「向こうの人に縛ってもらうから。」
「わかりました。」
「実は君の身柄はずっとこちらで拘束しておく予定だったんだがな。まあ君の望みだから
な。」
「そうだったんですか。すみません。ありがとうございます。私の頼みを聞いてくれて。」
「まあ、向こうがどんな人間か分からんが、元気でやれよ。」
「はい。」
と、向こうの富豪が来て、結希の両手を後ろに回し、縄をかけていった。上下胸縄を施さ
れ、車に乗せられた。車が発進すると、結希は男たちに頭を下げて行った。と、富豪が口
を開いた。
「君の扱いについてなのだが。」
きた。結希は体を固くした。
「安心しろ、粗略には扱わん。まさか他人の身代わりに囚人となるとは、その性格、見上
げたものだ。逃げたり暴れたりしなければ、君の生命と貞操は保障しよう。着いた。」
結希は少し気持ちが楽になった。と、縄尻をとられ、曳かれていった。建物の中に入り、
結希をエレベーターに乗せ、最上階に連れて行った。
「それでは、私をどうするつもりですか?」
「あの少女を手放してまで拘束した君だ。やりたいことはいくらでもある。とりあえず牢
に案内しよう。」
と最上階の牢に入れた。そこは、部屋一面に絨毯が敷かれ、可愛らしい装飾があちこちで
なされており、とても牢とは思えなかった。と、縄をほどかれ、ゴスロリ服を渡された。
それに着替えると、SM用の赤い綿ロープが巻き付いてきた。後ろ手上下胸縄緊縛を施され
、滑車に吊るされた。
「鏡を見ろ。可愛らしいぞ。」
と、壁にあった鏡を見てみると、可愛らしい部屋の真ん中に、ゴスロリ服に身を包み、赤
ロープで胸を上下から挟まれて吊るされている自分がいた。
「しばらくそのまま待っててくれたまえ。」
と出て行った。結希は一人になると、もがいたが、縄はなおさら締めつくばかりだった。
でも、晴れやかな自分がいた。そう、これは自らが望んで囚われの身になったのだ。
そう思ったとき、窓から見える海が、きらめいて見えた。
-END-